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第17回法面工事雑学講座

皆さんこんにちは!

プロス工業株式会社、更新担当の中西です。

 

~災害を未然に防ぐ~

毎年の豪雨・地震・凍結融解。日本のインフラを守るうえで、**法面工事(のりめんこうじ)**は欠かせない仕事です。ここでは、調査→設計→施工→維持管理まで、現場で役立つ基礎と勘所をまとめます。

1|法面とは?リスクの正体を知る

  • 種類:切土法面/盛土法面/岩盤法面。

  • 主な破壊モード:表層崩壊・円弧すべり・落石・洗掘・凍上。

  • キー因子:地質(粘性土・砂質土・風化岩)/地下水・湧水/勾配/植生の有無/表面排水。

勾配地質”を押さえれば、リスクの7割が見えてきます。

2|調査・診断:安定の答えは“現地にある”

  • 踏査:ひび・剥離・膨らみ・湧水・空洞音を近接確認。

  • 地盤調査:ボーリング/標準貫入試験/簡易貫入。地下水位と層序を把握。

  • 安定解析:円弧すべり・楔形すべり、F≧1.2〜1.5を目標(条件により設定)。

  • 排水計画:法肩→法面→法尻の連続排水を優先設計。

現地チェック(抜粋)
[ ] 湧水位置・量/法肩の切り下げの有無
[ ] 既設排水の詰まり・破損
[ ] 落石起点(はらみ出し・割れ目・浮石)
[ ] 周辺構造物(道路・家屋・水路)との離隔

3|工法選定:緑化工×構造的補強×排水で“重ねる”

  • 緑化工:植生基材吹付/種子散布/植生マット。浸食防止&景観に効果。

  • 表面保護:モルタル・コンクリート吹付、法枠工(格子状)で表層を拘束。

  • 補強:アンカー工・ロックボルト・受圧板・金網被覆・落石防護柵。

  • 排水:水抜きボーリング、法尻暗渠、集排水路、浸透・越流の誘導。

組み合わせの例
表層崩壊+湧水」→ 法枠+植生+水抜きパイプ
岩盤の割れ目」→ ロックボルト+金網+表面吹付
盛土のゆるみ」→ 表層改良+法尻補強+暗渠

4|施工管理:安全と品質を“型”で担保

  • 仮設・安全:落石防護・立入区分・NETIS資機材(落石検知ネット等)活用。

  • 配合・打設:吹付はスランプ・空気量・付着厚を管理、養生を徹底。

  • アンカー・ボルト:引張試験/グラウト充填確認/頭部防食。

  • 排水勾配・連続性・詰まり対策。沈砂槽の清掃計画まで考える。

1日のミニ点検
[ ] 高所作業の二丁掛け/親綱
[ ] 飛散・粉じん対策/散水
[ ] 施工写真(基礎→中間→完成)
[ ] 天候変化時の作業切り上げ基準

5|維持管理:予防保全が最安の“保険”

  • 定期点検:雨季前後・凍結融解期後に近接点検。

  • モニタリング:クラックゲージ/簡易傾斜計/湧水量の定点観測。

  • 補修:枠ひび修復・再播種・水抜き清掃・ボルト防食更新。

事例:既設法面の“湧水崩れ”を3点セットで解決

湧水多発の切土法面に、水抜きボーリング+法枠+植生基材吹付を実施。
施工翌年の豪雨でも浸食・崩落ゼロ、下流側道路の閉塞も発生せず。️✅

まとめ ✨

法面工事は、水の制御×表層拘束×内部補強を現地に合わせて“重ねる”技術。
調査・設計・施工・維持を一気通貫で支援し、地域の安全を守ります。ご相談はお気軽に!