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第19回法面工事雑学講座

皆さんこんにちは!

プロス工業株式会社、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

1|法面工事とは?

法面(のりめん)とは、切土や盛土によってつくられた斜面のこと。道路・鉄道・ダム・宅地造成などで必ず発生し、崩壊や土砂流出を防ぐための工事 が「法面工事」です。
単なる斜面の安定だけでなく、景観・環境・安全の観点から重要な役割を果たしています。


2|黎明期:戦後復興とインフラ整備の時代(1950〜60年代) 🏗️

戦後復興期から高度経済成長期にかけて、日本各地で道路・ダム・宅地造成が急速に進められました。
この頃の法面工事は、まだ技術も発展途上であり、モルタル吹付け簡易的なブロック積みが主流。
目的は「とにかく崩れないようにする」ことが中心で、景観や環境への配慮はほとんど考慮されていませんでした。


3|高度経済成長期:大量造成と機械化(1970〜80年代) 🚜

高速道路や大規模団地、ダム建設などによって、大量の法面が生まれました。
この時代の特徴は:

  • 法枠工(コンクリート格子状の枠) の普及

  • アンカー工法 による補強技術の導入

  • 重機による施工の効率化

工期短縮・安定性の確保が重視され、「量」と「スピード」によるインフラ整備が最優先の時代でした。


4|環境・景観への配慮の時代(1990年代〜2000年代) 🌱

バブル崩壊後、公共事業の在り方が見直され、「環境共生」や「景観調和」がキーワードに。

  • 緑化工法の進展:種子吹付け、植生マットで自然に近い斜面づくり

  • エコロジー型法面工:土砂流出防止と植生回復を両立

  • 地域材利用:石や木材を活用した工法

この時期から「守る」工事から「自然と共存する」工事へと意識が変わりました。


5|防災・減災の重視(2010年代〜) ⛑️

近年は、豪雨・地震・台風など自然災害が頻発。法面工事は「防災インフラ」としての役割が一層強調されています。

  • 高耐久性の法枠・吹付けモルタル

  • 落石防止網・ロックボルトの高度化

  • モニタリング技術(ドローン・センサーによる斜面監視)

施工だけでなく、維持管理・長期モニタリング まで含めた取り組みが進んでいます。


6|これからの展望 🚀

未来の法面工事は、環境保全・防災・デジタル化が融合して進化していくと考えられます。

  • ICT施工:ドローン測量、3Dデータによる施工管理

  • 環境再生型工法:在来種の植物を用いた自然回復型緑化

  • カーボンニュートラル対応:CO₂削減資材の活用

  • スマートモニタリング:AIによる斜面崩壊予測と早期警告

「壊れない斜面」から「自然と共存し、災害に強い斜面」への進化が今後の方向性です。


まとめ ✨

法面工事は、

  • 戦後の安定重視

  • 高度成長期の大量造成

  • 環境共生への転換

  • 防災・減災の強化

という流れを経て、今や「防災・環境・景観」を一体的に守る工事へと発展してきました。

これからの法面工事は、技術革新と環境配慮を両立させ、社会と自然の両方を守る存在であり続けるでしょう🏞️🌍✨