
皆さんこんにちは!
プロス工業株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~確認事項~
ということで、法面工事において施工前に必ず確認すべき事前事項を、6つの視点から深く解説します。
安定・安全・環境に配慮した施工のために“工事前に見るべきこと”
山間部の道路工事、宅地造成、河川護岸などで欠かせない法面工事。
斜面の崩落を防ぎ、周辺の構造物や人命を守るという重要な役割を担っています。
しかしその反面、地形・気象・土質などの自然条件に大きく影響される特殊な工事であり、現場条件の把握不足や確認漏れがあると、崩壊リスク・工事遅延・安全事故に直結する可能性があります。
見た目だけで判断しない“足元”のリスク把握
法面の傾斜角、長さ、高さを正確に測定・確認し、
「自然斜面か人工斜面か」「旧地すべり地形か」などの地形分類を行います。
崩壊の恐れがある風化岩・粘性土・シルト層の存在
湧水・地下水の有無
地すべりや亀裂の痕跡
地質調査(ボーリング・表面波探査・簡易貫入試験など)を実施し、法面の安定性を数値的に把握することが最優先です。
現場条件に合った“工法選定”ができているか
法面工事では、設計に応じてさまざまな工法が使い分けられます。
工法 | 特徴・用途 |
---|---|
吹付法枠工(モルタル/コンクリート) | 軟弱地盤・急傾斜への対応、構造物保護 |
植生工(種子吹付・客土吹付) | 景観配慮・自然回復を重視する現場 |
アンカー工 | 地すべり地・すべり面の安定化 |
法面張ブロック・石積み | 道路法面・河川堤防などの補強 |
ロックボルト・鉄筋挿入工 | 岩盤の割れ目補強や高所斜面に対応 |
傾斜角度、土質、気象条件によって適した工法は大きく変わるため、現地確認を踏まえた再評価が必要です。
図面通りに施工できるか?現場条件とのズレはないか?
施工前に、必ず次の項目を確認・すり合わせておく必要があります:
設計図面上の法面形状と実地形状の一致
法面延長・面積の実測確認(施工数量に直結)
仮設構台・重機配置スペースの有無
支障物(樹木・電柱・既設構造物など)の確認
計算上の設計と現場の地形・寸法にズレがある場合、施工数量の変更や設計変更が必要になる可能性があります。
高所作業・重機作業を伴う現場の“命を守る設計”
法面工事は、高所・不安定な足場での作業が多いため、事前の安全計画が非常に重要です。
作業構台・足場・防護柵の設計
重機・資材の搬入経路、仮設道路の確保
施工中の落石防止措置(防護ネット・覆工)
作業員の墜落防止対策(安全帯・命綱・立入制限)
国土交通省の「法面工事における安全施工マニュアル」などを参照し、法令遵守+現場実態に即した対策を講じることが求められます。
騒音・振動・景観・生活動線への影響を見落とさない
法面工事の現場は、住宅地・公道・農地・河川沿いなど、生活空間に近い場所にあるケースが多いです。
重機音・発破・切土による騒音振動対策
粉じん飛散防止(散水・ネット)
作業時間・搬入ルートの近隣説明
伐採・除草による景観変化の対応
植生復元・緑化工によるエコ対策設計
施工前の近隣説明会や掲示板設置、現場案内板の整備は、トラブル回避のために重要です。
法令・許可手続きが未完だと、工事は始められない
届出・許可 | 提出先・対象 |
---|---|
開発許可 | 自治体(造成規模により) |
林地開発・伐採許可 | 県庁・市町村(森林法) |
占用許可(道路・河川) | 道路管理者・河川管理者 |
地すべり防止区域指定 | 都道府県(土砂災害防止法) |
工事届(労働安全法) | 労基署(高所作業含む) |
書類に不備があると着工が遅れるだけでなく、法令違反として指導・中止命令の対象にもなります。
法面工事は、見た目よりずっと“奥が深く、難しい”工種です。
だからこそ、施工に入る前の段階で、「何を、どこまで、誰と確認すべきか」を明確にしておくことが、
現場をスムーズに、安全に、そして高品質に進める最大のカギになります。
カテゴリ | 確認事項 |
---|---|
地形・地質 | 斜面の角度、土質、地下水の有無 |
工法選定 | 適用条件と設計との整合性 |
設計情報 | 図面・施工数量・支障物の確認 |
安全対策 | 足場、落下防止、高所作業対応 |
環境・近隣 | 騒音、振動、景観、通行への影響 |
許認可 | 関係機関の調整・届出・承認状況 |